STR (Short Tandem Repeat)を利用した親子鑑定、個人識別

 弊社の親子鑑定と個人識別は、Life Technologies社のAmp Flster Identifilerを用いて実施しています。これは、米国の政府機関や日本でも警察機関で使用されているものです。

 ヒトのゲノム中には、ヒトの体を作るためのいろいろな遺伝子がありますが、それ以外にもShort Tandem Repeat (STR)と呼ばれる配列が存在しています。図1に示すように、4塩基弱で1単位を構成しており(図1では4塩基で1単位)、その基本単位が数回繰り返してできています(図1では3回繰り返し)。

図1 STRの説明

ヒトは、23対で46本からなる染色体を持っています。両親から半分ずつを受け継いでいます。その中の配列を詳しく見ていくとSTRと呼ばれる配列が、複数の箇所に存在しています。

 この繰り返し個数は、個人に特徴的なものです。そのため、子供は父親と母親から染色体を受け継いでいるので、父親由来の配列と母親由来の配列を持つことになります。それを利用することで、親子に血のつながりがあるか判断できます。

 このSTR配列はゲノム上に複数箇所存在しており、どこにどのような種類のSTRがあるかわかっています。その中で、15箇所のSTRを同時に測定し、検査依頼のあった検体間の比較を行います。

 例えば、図2では、STR1の検査については、父親の片方の染色体の1回繰り返しを子が受け継いでいます。また、母親からは、2回繰り返しのSTRを受け継いでします。この場合、矛盾がないので親子である可能性があります。仮に、STR1で子供が、2回と4回の繰り返し配列を持っていた場合、2回繰り返しは母親が保有していますが、4回はどちらも持っていません。そのため、父親が異なるという可能性が疑われます。これを15箇所について検査して、精度を向上させます。

 理論上、親子でないヒトたちが間違って親子であると判定される確立は数億分の1です。そのため、厳密には、100%親子であることは示せませんので、99.99%以上の確率で親子であると表現することになります。逆に、親子でない場合は、完全な否定が可能です。

 

 個人鑑定では、上記の理論と同じく、本人から採取したゲノムと遺留物から得られたゲノムを比較して、一致したSTRが得られれば本人であることを判定できます。

 

図2 親子判定の説明

 STRは複数箇所あるので、それぞれについて測定を行って判定します。図では3箇所の判定を例にしています。父親由来を赤色、母親由来を青色にしています。この両親の子であれば、それぞれの親から配列を受け継いでいますので、子供のSTRの構成は、親の一部でできている事になります。

 子が、父親もしくは母親の持っている繰り返し数と同じものを持っていれば、親子と判定されます。STRの繰り返し数が、2箇所以上異なる場合は、親子ではないと判定されます。

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